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なまこのスレイヤーズ・ゼルアメ中心のブログです。 各種版権元とは一切関係がございません。
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うっほほーい!!!
皆さんハッピーハロウィーンですよ―――!!!
特段なまこはハロウィンらしいことしてませんが、
今年最後のハロウィン絵をのせてみたいと思います―!!
それがこれかよ!ってねwwww
後ろの男どもは何をしてるかって、
嫁の胸を計測なうです(最低だなwww)

------------------------------――――――
そして、リクエスト第三弾は、なんと小話なのです・・・
しゅくさんからのリクエストは、
「リナから貰った遊園地のチケットで、
 急遽ゼルガディスとアメリアが遊園地に一日デートすることになる話」
です!!
実はしゅくさんからのリクエストいただいたのが、
ひじりさんより早かったのですが、
小話書くの、ものすごく時間のかかるなまこは、
二人のリクエストの似てる感じにうふふうふふしてましたwwww
お暇な方はつづきよりどうぞー♪

あはー☆気付けばあとハロウィン一時間しかないですー!!wwww
それでも最後にもう一度、
ハッピーハロウィーンです―――!!!



 





------------------------------――――

 

「まだこんな時間なのに、もう暗いぞ。」
「さすがにワイシャツ一枚じゃ肌寒いな。」
「だよな!んああああにしても、部活帰りの肉まんってんーまいなぁ。」
「お前・・・晩飯前なのに何個食うんだ・・・?」
「それよか、リナとアメリアは?」
「む・・・言われてみれば・・・」

 


チリーンチリーンチリーン!!

 

 

【Friends Luck】

 

 

「んとに・・・お前は何モンなんだ?」

立ち寄ったコンビニにて。
レシート一枚で福引ができるとのことで、
我らが不良キラー、リナ=インバースの右腕が、
それこそ、適当に唸った。

「で、一等当てたってか!?すげぇなお前さん。」
「ま。あたしの右腕にかかりゃこんなもんよ。」
「どんな右腕してんだよおい。」

あまり世間には知られていない事実だが、
リナの賭け事やここぞという時の運たるや、半端ではない。
ただのじゃんけんや、トランプゲームなら凡人並なのだが、
何かが賭かると、一気にその色を変える。
クッキー最後の一枚を賭けたじゃんけんや、
マルチナに挑まれたポーカー勝負、
学食来客危険すべき・・・もとい、記念すべき一万人目、などなど・・・
彼女の運はおれが見ている限りでは、尽きることを知らない。

「ところで、一等の景品って何?」

リナの後ろから覗き込むように、
本日何個目か数えるのも放棄した肉まんを食べながら、
ガウリイが呑気に尋ねると、彼女は振り返りもせず、
『一等!』と書かれた豪華な封筒を、二本の指で挟んで彼の目の前につきつけた。

「お!スィーフィードランドペアチケットじゃん!」

スィーフィードランド、とは。
一つの城を中心とした4つのテーマに分かれたエリアが存在する、
この世界でダントツに有名で大人気のテーマパークである。

「どーすんのこれ?」
「こーすんのよ。」

そういってリナは、豪華な封筒を挟んだ二本指を、
そのまま真横に移動させた。

「え?」
「アメリアにあげる。」
「「えええ!!?」」

これはアメリアのみならず、おれとガウリイも同時に驚愕の声をあげていた。

「何よ?あんた達まで。」
「だって!リナが!!」
「あのリナが!!」
「「人に物を譲るなんて!!」」
「どべしっ!!」
「「うぎゃっ!!」」
「譲ってんじゃないわよ!これが本来の形よ!形!!」
「は?」
「あたしは、アメリアのレシートで、これ当てたのよ。
 だからこれはこの子にあげるのが筋ってもんでしょ!?」
「え!?でも、当てたのはリナよ・・・?」
「何言ってのよ、あんたの金でこれ買ったようなもんでしょー?
 それにあんた、ここ行きたいーってずっと騒いでたじゃない。」
「~~騒いでなんかあぁ・・・!!」
「いーから!自分で言うのもなんだけど、
 あたしがタダで手に入れたものを他人に渡す、なんて滅多にないんだから、
 ありがたく受け取っておきなさいよ!!」
「・・・なんちゅー言い草だ・・・」
「うっさいわよ!」
「・・・そういうことなら」
「あんたも!それを理由に素直にならないでよねっ!!」

なんやかんやありながらも、
ペアチケットを手に入れたアメリアの、
抑えているようで抑えきれていない綻ぶ笑顔が見られ、
おれは心の中でこっそりリナに感謝をした。

「てゆーかさ、ペアチケットなんだから、
 お前さんら二人で行って来ればいいじゃないか?」
「そうですよっ!!リナと最後に行ったのいつぶりかしら~?
 二人で行けば万事・・・」
「あ。ごめんアメリア。」

興奮するアメリアを止めるように、
ほぼ同じ身長であるアメリアの頭を押さえながらリナは言った。

「レシート一枚で、当てられるようなチケットってのはね、
 大抵が日にち指定してあるのが多いのよ。
 で、そのチケットの有効期限いつになってる?」
「・・・今週の、日曜日までです。」
「そゆこと。今日は金曜で、明日はバスケ部の助っ人で、
 日曜日は食べ放題って、もう予定がつまってんのよ。」
「えー!食べ放題って~。」
「3割引きチケットあんのよ!!日曜までの!!」
「え~、じゃぁオレも行こっかな~。」
「お一人様までよ!!」
「じゃぁ・・・どうしましょう、チケット・・・」
「ねぇあいつ、あまってんじゃないの?」
「あい、つ?」
「?」
「・・・・・」

 


「じゃぁ・・・そのっ・・・
 また、明日!メールしますねっ!!」
「・・・・おっ・・・おぅ。」

膝上の制服のスカートをひるがえし、
これでもかと脚線美を見せつけるように、
元気よく手を振りながら、軽やかに駆けていくアメリア・・・
それを見送る、リナとガウリイと、おれ。

「・・・・・」
「リナ?明日の予定、嘘なんだろ?」
「なんで?」
「うちのクラスのアベルが、明日女バスのキャプテンとデートなんだと、さ。」
「・・・よかったじゃないゼル。アメリアとデー」
「謀ったのか!!??リナアァァァ!!!!」
「人聞きが悪いわね。ここはリナグッジョブ、でしょ?」
「うん。オレも、そう思う。リナ、グッジョブ。」
「うむ。」
「おおおおまえええらあああああ」
「やっかましい!!!」

ひどく通る彼女の声と、ずいっと人差し指を鼻の前に突き刺され、
声を出すのも忘れ、脳天まで上り詰めた血圧が一気に下がり、一瞬眩暈がした。

「あたしは、きっかけをあげただけよ。
 これを生かすも殺すも、あんた次第!好きにするがいいわ!
 別に断ってもよかったわけじゃない?」
「そんなことできるわけ・・・」
「ほーらみなさい!男なら腹くくんなさい腹ぁ!!」
「まぁまぁリナ!きっかけ、あげただけなんだろ?
 だったらもうオレ達は何もせず、あったかく見守ってや」
「ま、待ってくれ!!」

―――おや?

おれは、今何をしているんだ?
目の前には、こちらがびっくりするほど、
目を丸くしておれを見下ろしているガウリイとリナ・・・
―――おれは屋外の道端であるにも関わらず、土下座をしていた。
しかも無意識にって、おい。

「ゼル・・・?」
「ど、どしたの?」

さすがに、からかうことに青春をかけているリナとガウリイも、
おれのこの行動は予想外だったとみえる。
当たり前だ。本人でさえ予想外だったのだから。
しかし、仕方がないのだ。

「・・・助けてください。」

仕方がないので、改めて頭を地面にこすり付けた。

 

「お前さん・・・スィーフィードランド、行ったことないの・・・?」
「・・・非国民。」
「んなことで国民性まで否定するなっ!!」

おれがなけなしのプライドをかなぐり捨ててまで、こいつらに助けを求める理由。
その、なんとかランドとやらに、行ったことがないのだ。
物心ついたときから、そんな所に行くような友人もいなければ、
家のじじいとも、ゾルフとロディマスとも、

「・・・行くわけがないだろう?」
「ま、そりゃごもっともだわ。」

このあとロクでもないことを口走るか、と身構えたおれだったが、

「いいじゃない?アメリアはそんなこと気にする娘じゃないでしょ?
 たくさん変なことしてきなさいよ。たくさん笑ってきなさいよ。
 あの娘のこと、また色々知ってきなさいよ。」

そういってふわりと笑うもんだから、
おれとガウリイ、思わず顔を見合わせた。

 


『明日の朝10時にスィーフィードランドの入場門前集合、でいいですか??!(^^)!』
『申し訳ないが、その場所がわからんのだが。』
『えええっ!?\(◎o◎)/そうなんですか!?もしかして、行くのはじめてですか・・・?』
『そうだ。』
『それなら!駅に集合して、一緒に行きましょう!!(*^_^*)』
『どうせ通り道だ。お前の家に寄って行く。』
『そんな・・・悪いですよぉ(・。・;』
『構わん。気にするな。』
『えへへ(*^。^*)ありがとうございます!えーっと・・・じゃぁ9時に来てくださいますか??』
『了解した。』
『ありがとうございます!!\(^o^)/
 明日が今から楽しみです!!それじゃぁ、おやすみなさーい!(@^^)/~~~』

 

現在、土曜日の夜。
約束のみを取り付けた連絡メールが、無事に終わりを告げた。
部屋の電気は消え、明かりは窓の外から集められたもののみが頼り。
視界はほぼ青色が占める、
青は心が落ち着く色であり、スポーツ競技のトラックの色にも使用されるほどだと聞くが、
今じゃそれも疑わしい。

とっくに門限もすぎ、門限があるから故なのか、
ここの寮生の就寝は、健全な高校男子生徒かと疑うほど、早い。
それなのに、明日の9時にはアメリアを迎えに行かねばならんのに、
おれの心臓は一定より数倍のスピードで血液を巡らせている。
例えるなら、100m全力疾走した後、食堂へ走るガウリイを見た、感じだ。

ベットに正座し、眠気を待つおれはゼルガディス=グレイワーズ。
今まさにガウリイを連想したため、握りしめた携帯が、彼を探った。

『ゼル?なぁにこんな時間に~・・・オレ寝てたよ?』
「眠れません!!!」
『はあ??だから、寝てたんだって・・・』
「おれが、眠れないの!!!」
『何それ・・まさか、明日のデートが楽しみすぎて眠れないの?』
「デッ!!」
『あー、それ意識させない約束だったっけ?』
「うわああああ余計眠れなくなっただろうが~~!!!」
『知らんよ!?オレ知らんよ!!?』
「眠れん~~!!!」
『楽しみすぎて眠れないとか、ゼルも可愛いとこあるじゃん。』
「なぁ・・・お前3秒で寝れるだろ?あれどうやるんだ?」
『え~?こう、ベットに入って、布団かけて、ぐっと目閉じるんだ。』
「それは人類寝るべき時必ずやることだ。」
『じゃぁ寝れるだろう?』
「だから、眠れんというとるだろうが~~!!」
『大丈夫だって!スィーフィードランドはオレ達より、
 断然アメリアの方が詳しいし、エスコートされてこいよ!
 いつも通りに一緒にいればいいんだし、って・・・
 二人っきりってのはじめてだろうけど・・・
 まぁせいぜいアメリア独り占めしてこいよなっ!!
 帰ってきたら、どうだったか教えてくれよな~?じゃ、おやすみ!!』

ガウリイとは思えんほどの手際の良さで電話を切られた。

 

 

 

ピピピピピ
ピピピピ ピピピピ


「・・・はい?」
『あ、ゼルガディスさん!おはようございます!よかったぁ・・・!』
「・・・アメリア?」
『はいっ!よかった・・・まさか事故に合われたかと心配で・・・
 最初の電話でなかったですし・・・心配しましたよんもう!!』
「あー・・・?うん。」
『ところで、今どちらに?』
「・・・どちら?」
『あの・・・・・・・・ゼルガディスさん、9時ですよ?』
「・・・・・・・・・」

 

うわああああああああああああああああああ

 


おれが。
この、おれが。
学園無遅刻無欠席のこのおれが。
部活もやむを得ない場合以外は必ず10分前には胴着に着終えるおれが。

よりによってこの大事な大事な日に、
アメリアが楽しみに待っているというのに、
原因は確実に、窓の外が微妙に白々しはじめたくらいにうとうとしだしたせいで、
白状すると、完璧に、楽しみすぎて眠れなかったせいで、
そのせいで、

 

――――遅刻だとぉ

 

そんなこと考えながら顔を洗い、服を着替え、
バックを抱えて、文字通り飛び出したせいで、
朝食をとりに起きてきた寮生何人かをひきそうになった。

寮から全力疾走してもアメリアの家までは10分はかかるだろう。
部活のおかげで、ペースを全く落とさず走れる、そのほんの少しの心の余裕の中で、
沸々と湧き上がるアメリアへの罪悪感。
多少のことじゃ滅多に怒らない彼女だが、
怒りを通り越して悲しみが募り、泣き出す節がある。


―――それだけは、絶対に避けねばならん

 

驚異の7分でアメリアの家、門の前に着く。
毎日の5k走り込みの効果をこのような所で見せつけられるとは、皮肉なものである。
そんなことを考えながら、息を切らしていると、
その大きな門の陰から、小さなものがひょこりと動いた。

「ゼルガディスさん!!」
「アメリア―――」

その瞬間、揺れる彼女の瞳にうつる自分と目があった瞬間、
彼女の鼻先ぎりぎりでおれは、

「すまない!!!」

ただ、渾身の罪悪感を込め、頭を下げていた。

 

 

「・・・アメリア」
「なんですかぁ~?っふふふふ」
「そろそろ笑うのやめんか・・・」


話しかけるだけでこれだ。
――――あのあと。
恐る恐る顔を上げた先に見えたアメリアは、
顔全体で、笑いをこらえた表情だった。

「だってー!ゼルガディスさんが遅刻なんて・・・!!
 それだけならまだしも、10分以上かかる道のりを7分で・・・
 あんな焦ってるゼルガディスさん、はじめてですよ!!」

どうやらおれの人生ベストオブやっちゃった瞬間が、
このお姫様はひどくお気に召したようで・・・
朝飯も食わんと必死だった身としては、けしからんと怒鳴りたいところだが、
これに関しては完全におれが悪いので、文句の一つも言えない。

「にしても・・・本当にいいんですか?」
「なんだ?」
「今日一日、わたしの言うこと、なんでも聞いてくださる、って。」
「あぁ。それだけのことはしたからな。」
「別に・・・わたしは全然気にしてませんよ・・・?」
「おれが、気にするんだ。」
「もう・・・真面目にも程がありますよ?」
「お前はもう気にするな。おれが好きでやることだ、存分に使え。」
「じゃ、お言葉に甘えちゃいますよ?」
「お手柔らかに、お姫さん。」
「んもー!!その呼び方止めてくださいよー!!
 ルークさんも大会の時初めに会った挨拶それですし、
 この頃じゃ、たまにガウリイさんやゼロスさんもそう呼ぶんですよー!?」
「それじゃぁ、お前もそのように振る舞わんとな?」
「ゼルガディスさんっ!!」

いつの間にか、
いつものように話している。
自然で、居心地がよくて、正直なにより楽しい。
しかし、そのすぐ裏で、
二人っきりであることを、少しは気にしてほしいという、
複雑な男心を抱えた、しがない一日従者のおれとセイルーンの姫を乗せた電車は、
快晴の空の奥へ吸い込まれていった。

 

来る、スィーフィードランド、とは。

シンボルとしてそびえる、
赤の竜神、スィーフィードが治めると設定の、
スィーフィード城を中心に、
水竜王が治める水の都、ラグラディア。
火竜王が治める炎の世界、ヴラバザード。
空竜王が治める風の惑星、バールウィン。
地竜王が治める大地の街、ランゴード。
というエリアにわかれた、夢と希望と冒険とイマジネーション溢れた、

「いわゆる遊園地なんだな。」
「んもー!オリエンタルランドです!」
「そのエリアごとにテーマに沿った乗り物とか店があるんだな?」
「お昼と夜にはパレードもあります!」
「盛りだくさん、ってわけか。」
「盛りだくさんです!」

まだ午前中にも関わらず、日曜日であるからなのか、人の数が半端ない。
この世にこんなにも人がいるのかと思わせるほどの人数をかき分けながら、
辿り着いた、スィーフィード城。
真っ赤にそびえ立つそれは、圧巻だった。
赤レンガ造りの、一見城とは思えないほどの建築物に、
その建築物に絡みつくように、紅い龍がこちらをじっと眺めていた。
さすがシンボル。

「さぁゼルガディスさん!!最初はこっちですよー!!」
「うおぉう!!」

シンボルへの感動に浸る余韻もなく、
嬉しさを顔全体で表現しているアメリアに、
ぐいっと手首を捕まれ、まるで現実に戻されるように、
ダッシュする彼女に引っ張られた。
ふいと振り返り、その満面の笑みを真正面に受け止めた、
その笑顔と手首から伝わる彼女の体温が、妙に熱かった。

 

しばらくアメリアに連れられて、気づいたことがある。

水の都も、炎の世界も、風の惑星も、大地の街も、
それ相応の世界観が見事に表現されていたが、
どこにも共通していたものが一つ。
橙色と、紫と、黒の装飾物がそのエリアを覆っている。
その色がデザインされたタペストリーだったり、
かぼちゃのモニュメントや、可愛くデフォルトされた怪物たちのモニュメント、
それぞれのエリアでながれる独特の音楽も、どこか怪しげで。

「この期間は、ハロウィン仕様なのです!」

そのことを指摘したら、アメリアが嬉々として答えた。
道行く客(ここではゲストというらしい)の中には、
ハロウィンの仮装を、しかもかなり本格的にした奴らも大勢おり、
そこら辺を歩いているだけで目が楽しめた。
しかし通りで・・・
このおれを、というか、おれの肌を見ても誰も不審な目を向けない。
不審どころか、『あの特殊メイクすごい』とまで小耳にはさむくらいだ。
アメリアが一緒でなかったら、発狂しているところだ。

――――でも、

「ほら、ゼルガディスさん!こっちですよ!!」

いつもより気合を入れたとわかる可愛い格好をして、
楽しいと嬉しいを身体全体で表現し、
花のような温もりを込めた小さな手でおれの手首をつかむ、
そんなアメリアが見られた、この一瞬で、
来てよかった、と心から思った。

 


もう一度確認するようだが、
おれは本日、セイルーンのお姫様お抱えの、しがない従者である。
よって、彼女がしたいと思うことは、なんでもせにゃならん。

というわけで、生まれて初めてジェットコースターたるものに乗った。
息が出来ぬほどの風の抵抗を受けながら、
周りの景色が見えないくらいの感覚を味わったのも初めてで、
一番最初は、30分も並んだ癖に一瞬で終わる感覚にウンザリしたが、
2度目から病み付きになっていた。

逆に、コーヒーカップやメリーゴウランドといった、
軽快な音楽とともに、無意味にぐるぐるぐるぐる回り続けるメルヘン物体は、
生理的にも、実際乗ってみても、2度とごめんだった。
気持ち悪くなる。おれは案外三半規管が弱かった。
・・・まぁ、実際の所、
アメリアに「一人で乗って、王子様のように手を振ってください!」と
意味の分からないお願いをされ、
心に、負う必要のなかった羞恥心という名の傷を負ったせい、
というのもあったりする。

 

それらが一段落し、夜に行われるパレードを見るため、
おれは今売店で買ったホットドックを食べながら、場所取りをしている。

なんでも、ここがアメリアのお気に入りスポットらしい。
ここで、何故おれが一人でいるのかというと、
現在アメリアは、肉まんとたこ焼きを買いに行っている。
薄暗くなった屋外を、彼女一人で行かせるのはかなり気が引けたが、
生憎、この夢の国はアメリアの方が詳しい。
地図なしで歩ける彼女とは対照的に、おれは未だに右も左もよくわからない。
彼女の安全と引き換えに、効率性を得たのだった。

何故、ここまで心配なのか―――
ここは夢の国であり、安全性は高い、が、
周りの男共の視線が、そこらへんの道端より危険だったのだ。
今日の彼女は、普段より数段可愛い。
それに引っかかる男共が、今日は数えてざっと10はいた。


――驚異の危険度ではないか。なんてこった。


今すぐ駆け出していきたい衝動を、
姫のお気に入りの場所を他の者にとられてなるものか、
という使命感だけで、どうにか抑え込んでいる。
早く帰ってこんかアメリア。

「お待たせしました!買いすぎましたかねぇ?」

そこには、両手いっぱい食べ物を抱えた、アメリアがいた。
こちらも驚異のスピードで戻ってきた。


大量の食糧を消費しながら、
ここでのアメリアは、
本当は乗り物に乗るよりパレードを見る方が好きであること、
今日はおれがはじめてここにくるから、
乗り物もパレードもどちらも楽しめるように計画していたこと、
ジェットコースターが気に入ったことを見透かされたこと、などなど。
彼女はどこまでも相手のことばかり考え、
そして同時に自分も楽しんでいた。

おれは、そんな器用に周りを見ることが出来ない。
対人スキルが極端に低いおれからしてみれば、
リナもガウリイもアメリアも、何も言っていないのに相手のことがわかり、
相手のことを考えた行動をとれることは、
本当に心から尊敬している。
そのくせ、感謝の言葉を響かせることができない。
そのたびに、己の不甲斐なさに心がひりひりする。

「・・・楽しかった、か?」
「はい?」
「いや・・・今日は、おれなんかと来て、
 お前本来の楽しみ方が出来なかったんじゃないか・・・?」
「そんなことありませんよ?
 楽しみ方は毎度来るたびに変わるものです!」
「そういうものなのか?」
「毎回同じじゃつまらないでしょう?
 それに、おれなんか、なんて言わないでください!
 わたしは己に「なんか」がつく人と一緒にいたりしません!」
「すまんすまん。」
「ゼルガディスさんのそーゆー暗いとこ、好きじゃないです。」

 

ぐっさりきた。

 

「・・・す、すまんすまん」
「ゼルガディスさんこそ・・・」
「ん?」
「楽しかったですか?」
「え?」
「ほらー!ゼルガディスさんは楽しくなかったんだー!」
「おれは何もいうとらんだろうが!!」
「だって、即答してくれなかったじゃないですかー!」
「おれはそんなキャラじゃないだろう・・・」
「じゃぁ・・・楽しかったですか?」
「・・・おう。」
「本当ですかぁ~~??」
「そんな生産性のない嘘はつかん!!」
「よかったー!!」

あれ?
満面の笑みが、すごく近い。
気づいたら肩と肩が完全に触れ合う格好でお互い座っていた。
いや・・・より多くの人が座れるように、
最小限のエリアを確保していたからであって・・・
決してよりアメリアの近くにいたかったわけでは・・・
いや、そうなんだが・・・いやいやいやいやいや、だから!!

「今日はホント、リナに感謝です・・・」
「言うなればあいつのツキのおかげだからな。」
「ふふっ、それだけじゃないんですけどね。」
「は?」
「・・・バスケ部の助っ人なんて嘘ついて」
「お前・・・知ってたのか?」
「え?ゼルガディスさん、ご存じだったんですか?」
「・・・あぁ。お前も、なんで知ってたんだ?」
「だって、わたしの友達のバスケ部の子から、
 試合負けたって愚痴、聞いたばかりでしたから。」
「・・・・・それはそれは・・」
「なんだ・・・リナが嘘ついてるってご存じでも、
 ちゃんと来てくれたんです、ね?」
 

――――うわあっ・・・!!
 

その眼、このほぼゼロの距離で見るのは眩しすぎる・・・
周りの電燈が色褪せる。

「それは・・・ああ当たり前、っだろう!?」
「・・・そうなんですか?」
「・・・断る理由がないだろう。」
「リナと行けばいいだろう、って、言われるかと思いました・・・」
「お前こそ・・・」
「え?」
「リナが嘘ついてるってわかってたのに、
 なんでリナと来ようと思わなかったんだ・・・?」
「っ・・・!!!・・・だっ・・・だって―――」
 

ふと、周りが真っ暗になった。


「なっ!?」
「ふわあああああっ・・・!!はじまります・・・
 はじまりますよゼルガディスさんっ!!!」

さっきまでの、熱に浮かされたような会話が、
光と夢のパレードの迫力に圧倒され、儚くも飲み込まれた―――

 

 

「・・・すごかった。」
「そうでしょうー!?やっぱり、ゼルガディスさんは
 この良さがわかると思いましたよー!」
「人の力であんなもんが作れるのか・・・
 人間も捨てたもんじゃないな・・・」
「やったー!ゼルガディスさんもパレード派ですね!」
「ふむ。ジェットコースターは好きだが、
 このパレードも好きだ。」
「リナは乗り物派なんですもん。同志ですね!嬉しいです!!」

リナの名前が出てきて、
先ほどの会話を思い出して体が熱くなったが、
このアメリアの一言が、さっきのおれの問いの答えなんじゃないかと思ったら、
何故か心がちくりと痛んだ。


光と夢のパレードに酔わされた大勢の客たちが、
おれ達と同じように出口へ向かっている。
この人エネルギーで電気が賄われているのかと疑うくらいの人口に、
おれ達は流されないように必死になっていた。

アメリアを人の波から守るように、
おれは彼女の歩く歩幅に合わせながら、少し前を歩く。
その一定の距離が、
一瞬の隙でぐんと開いてしまった。

「―――っ!」
「っ!!」

急いでアメリアが流されないよう距離を縮めようと振り向くと、
同じように必死についてくるアメリアが、
おれの手首をつかんだ。
今日何度目かの、手首から伝わる彼女の熱。
そのまままた振り返り、覚えた彼女の歩幅で歩きだす。

お互い無言のまま。
それでも苦にならないほどの距離感であることは、
恐らくお互い様なのであろう。
同じ空気を吸うことを許されているが、
同じ体温を分け合うことは、果たして許されているのだろうか―――
電燈による薄ら明るい周りの景色と、
まるでこの世に二人っきりであると錯覚させるほどの多すぎる人垣に阻まれ、
そんなことを考えてしまった。
一度過った思考は、この無言の海の中ではさらに拡大する一方で・・・


許されるのならば、
この心が伝わらないのならば、
儚い時間だけでも、いいから―――

 

アメリアの手首を握る力が少し弱まった、その次の瞬間には、
アメリアの手の温もりが、おれの手にも伝わっていた。
それは、どちらからともなくであったと、思う。
おれの気持ちが伝わらないよう、握る力を加減しながら、
でも、その手は離さなかった。
離したりは、しなかった。

 

 


「じゃぁな。」
「今日は・・・ありがとうございました!」
「いや、こちらこそ。」
「また一緒に、行きましょうね!?」
「っ・・・おぅ。」
「今度は4人で!!!」
「・・・・・・そうだな。」
「それじゃ、おやすみなさい!」
「あぁ・・・ん、アメリア?」
「はい・・・え・・?」
「ちょっと・・・・動くなよ?」
「~~~~~ひゃっ・・・・・・・ぁ?」
「ゴミ・・・ついてたぞ。」
「・・・ああ!ありがとうございます!!」
「じゃ。」
「お、おやすみなさい・・・!!」
「・・・・おやすみ。」

家の門の前まで送ってくれたゼルガディスさん。
帰りは少し歩いた先を左に曲がるのだけど、
姿が見えなくなるまで、その背中をずっと見送っていた・・・

「おお、アメリアよく帰ったの~!!
 今日は楽しかったか~?」
「父さん!!ただいまです!!」
「ん?今日は暑かったのか?顔真っ赤じゃないか?」
「え!?いえ!!急いで帰ってきたもので!!」
「そうなのか?あぁ、そうだ、風呂沸いとるぞ!」
「も、も少ししたら入ります!」
「おう!そういえば今日は誰とスィーフィードランドに・・・
 って・・・あれ?もうおらんのかアメリア?」

 

そして父さんに会っても、
自分でも挙動不審だと思ってしまう対応を済ませ、
急いで走って自分の部屋の扉を目指した。

バタン

いつもより少し勢いよく扉を閉め、
叫び声を心の中で響かせながら、ベットにダイブした。
よみがえるのはもちろん、今日の一日騎士様のことばかり。

今日一日、二人っきりですよ!?
ゼルガディスさんだけ見てても全然怪しまれないんですよ!?
しかもなんでも言うこと聞いてくれるっていうから、
ちょっと王子様もやってもらってしまったし、
ジェットコースター乗った後の楽しそうな感じとか、
もう・・・可愛くてかわいくて・・・!!
無愛想な顔の中に、明るい表情を見つけてしまうたびに、
じゅんと心が潤う、もっとって思ってしまう。
しかもゼルガディスさん、今日もあまりにもかっこいいもんだから、
色んな女の人が振り返るし・・・
だから、パレードの場所取りしていただいてても、
絶対誰かしらに話しかけられてると思ったら、
居てもたってもいられなくて、剛速球で戻ったっけ・・・

パレード前の会話は・・・
あまり深く考えないでおこう。
リナの嘘に気付いてたくせに、ゼルガディスさんとデートしたいから、
っていう下心がバレなかった、それだけでもよしとする。

でも・・・ゼルガディスさんもリナの嘘を知っていたのは驚き・・・
それでも一緒に来てくれたのが・・・やっぱり嬉しい・・・
だからこそ、あまり深く考えてしまったら、
絶対にありもしない状況も考えてしまうから、
それはあまりにも悲しすぎるから、
嬉しいって気持ちで終わりにしよう。

だけど、

帰るとき、
パークから出るまで、
手をつなぐことができた・・・・
あれは・・・
ううん、アメリア。考えるのを止めなさい。
あれははぐれないように、してくれたこと。
わたしが、手首ばかりつかむから、
それは痛いから、してくれたこと。
特別な感情は、ありはしないわ。
強いて特別であるとすれば、友達であるって、ことだけ。


それでも、


わずかな間だが繋いだ互いの体温を、
その手に思い出すたびに、胸の奥が痛くて立っていられなくなる。
しかもそれが心地よいなんて、一体どうしてしまったんだろう・・・?
これが、本当に人を好きになるって感情なのかしら・・・?
好き、って良い感情のはずなのに、
なんで痛くなるのかしら、
涙がでそうになるのかしら・・・

「・・・ゼルガディスさん」

胸の中が彼でいっぱいになったから、彼の名を零せば、
少しでも飽和状態から抜け出せるかしら?
思わず漏れた彼の名が、また耳に入り、胸の奥を侵食する。
彼からもらったストラップを握りしめながら、胸の痛みは加速する。

そう。彼からもらった、ストラップ。
帰り際、家の門の前で、
いつの間に買ったのか、姫への粗品です、だって、

―――やめて本当かっこよすぎですっ・・・

渡すとき一瞬だけがっちり目線を合わせてきて、
いらなかったら捨てろだの、おれの選んだもので恐縮だだの、
見当違いのことを言っている間は、恥ずかしそうに目線を逸らして・・・
その顔が、瞳が、握った手の体温が、

 

愛おしい

 

――――あれ?
それって・・・好きとは違うの・・・?
わかりません・・・わかりません――――!!!

自分の中から生まれた言葉なのに、
全く自信がない。
それでも正直な体は、
彼からの贈り物を胸に抱いて、
また胸を庇うように体を丸めるのだった。

 

 

秋の夜長に夢の国で、
少し育った心と心は、
熱と言葉を膨らませ、
自信と期待を削ってく


互いの心を結ぶのは、まだまだ先のお話

 

 

 

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